【宮城谷昌光 沙中の回廊】計略を立てた者は、けっきょく勝利しかみすえていないので、視野が狭いということがありえる

計略を立てた者は、けっきょく勝利しかみすえていないので、視野が狭いということがありえる


先軫の使者として士会は姜戎氏の族長・吾離に面会した。
献策した士会は、不備があれば忌憚なく指摘するよう吾離にはっきりといい、
この族長の気に入るところとなった。
過信すると物事が見えなくなる、という先軫の教えが活きていた

近く秦軍を相手取るつもりの先軫は、秦を恨んでいる姜戎氏の軍勢を恃もうとしていた。
姜戎氏は牧畜を生活基盤とする族であるが、秦から圧迫され、
晋国内で定住をゆるされた経緯がある。

まもなく秦が晋国を通過する。
この軍を撃てば大勝利を収められるだろう。
これは薨去した文公が柩の中からことばである。
にわかに信じがたいが、事実秦は晋国内を通過した。

文公の薨去からほどなく、鄭君も死去した。
秦の穆公はこれを機に鄭を攻めようとした。
国中が喪に服している晋からの抵抗はないであろうし、
新君主が立ったばかりの鄭の防衛など取るに足らない。

秦は晋国の土を踏み、鄭の邑を手中に収めた。
往きに通った路を、当然復りも通る。
この時、晋では復路の秦軍を討つことが決議されていた。

士会は姜戎氏とともに伏兵で秦軍を攻め、
退却する秦軍を森においつめ、焼き討ちにした。
快勝である。

策士策に溺れるという言葉と通ずるものがある。
完璧とおもわれる策にも、僅かな綻びはあるものである。
やはり客観視してくれる周りの意見とは、有難いものである。

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