【宮城谷昌光 夏姫春秋】未来とは、占いのみによって、わかるわけではない



未来とは、占いのみによって、わかるわけではない。過去を鑑てもわかるのです。


鄭公となった子夷に対する石楚の言。

鄭公・蘭(穆公)が亡くなり、子夷が立った。
楚王・旅に可愛がられた子夷は当然楚と結ぼうとした。
しかし現在鄭は晋国と盟約を結んでおり、子宋をはじめとする重臣達は晋との同盟維持を主張した。

鄭は中華の要衝に位置する国である。
が、小国であるため常に侵略の対象であり続けた。
この時代、楚と晋の二大国に交互に攻められ、攻められる度に反対の同盟と離反を繰り返し、
他国からは狡兎と揶揄されていた。

子夷は狡兎の汚名に耐えられず、道義に従いたいと主張する。
それに対し子宋と同じく重臣の子家は、周王を輔護している晋国こそが道義に従っているおり、
周を尊奉しない楚には道義が無いと説いた。
子家の正論に反駁出来ない子夷に石楚が助け舟を出した。

曰く、今でこそ周王を輔護している晋国ではあるが、周王室ゆかりの国々を滅ぼし、
肥え太ってきた国こそが晋であり、次に欲する国が鄭であっても不思議ではない、と。
つまり、晋が行なってきた過去を鑑ることで、鄭の未来を占えということである。
子夷は妥協案を提示し、楚王・旅が存命中は楚につくと場を押し切った。

温故知新という言葉もある。
成功・失敗を問わず、過去に学ばねば未来に活かせない。
見た目は違えど、本質的には同じ事柄が過去未来と繰り返されることが多々ある。

誰かの生きた人生を、書によって知ることが出来る。
そしてその成功・失敗を学ぶことが出来る。
歴史の醍醐味はまさにここにある。


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