【宮城谷昌光 三国志】兵の心を掌握したうえに用兵というものがあり
兵の心を掌握したうえに用兵というものがあり、
用兵を先行させた将がことごとく失敗していることも知っていたであろう
用兵を先行させた将がことごとく失敗していることも知っていたであろう
部門に生まれた皇甫規は若い頃から兵略の才があり、
官途に就く前から兵を労らない将の大敗を予見するなどし、次第に頭角を現した。
権力を恣にする梁冀を痛烈に批判したため罷免され、更に生命を狙われるも死なず、
三百人の門下生に「詩」と「易」を教えて14年を過ごした。
梁冀が誅殺されると出仕を促す使者が次々とやってきたが立たなかった。
泰山の賊が暴れている最中に使いが現れた際、困難に挑戦してみたくなった皇甫規はついに立ち、
泰山の賊を平らげた。
さらに羌族が寇略をはじめると西方に派遣され、鎮圧にあたった。
西方の悪い水のせいか軍に病が蔓延すると、病に倒れた兵を見舞い、
疲労困憊で精気を失っていた兵卒を励まし続けた。
戦国時代の名将・呉起を尊敬する皇甫規は、彼が最下層のものと寝食を共にし、
出来物に苦しむ者がいればその膿を自ら吸ってやるほど兵を慈しんでいたことを知っていた。
皇甫規のこのような兵への恵慈を知った羌族は感嘆し、
降伏の使者を使わして帰順した。
皇甫規は勇気だけでなく、徳を以って西方の族をくだしたのであった。
どれほど強大な軍も兵卒の集合体であり、紐解いて見ればそこには一人ひとり生身の人間が居る。
率いる将に慈しみの心があるかないかは、兵が仕えたいかどうかと同義であり、
その意識の集合体である軍の士気や勢いに大きく影響する。
兵は搾取の対象ではなく、支持を得てその力を引き出すべき存在なのである。
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