【宮城谷昌光 重耳】人に徳をほどこさないで、人を用いようとするのは、罪悪です

人になにかをしてもらいたいと思えば、こちらからなにかをしてあげる。
人に愛されたいのなら、こちらから愛する。
人を従わせたいのなら、まず、人に従ってみる。
人に徳をほどこさないで、人を用いようとするのは、罪悪です。


重耳に問われた趙衰の言。

諸国を流れた重耳は楚、ついで秦に厚遇された。
秦の君主・任好は自らの娘を5人、重耳の室に送り出した。
重耳を当惑させたのは、その娘らのなかに、重耳の甥・圉の妻、懐贏がいた。
懐贏は任好の娘の中でもっとも才のある娘で、それゆえに一時秦で起居していた圉の妻となった。

任好から暗に懐贏を娶ってほしいと言われたことになる重耳は、
胥臣や孤偃に問うた。
彼らはともに娶るべしと答える。
特に孤偃は今は晋の主となっている圉に父・孤突を殺されていることもあり、
その復讐を優先させるため、秦の後ろ盾を得まいという政治的な思考から、重耳に辛い回答を行った。
すくなからず重耳は傷ついた。
正式に結婚していないとはいえ、懐贏は甥の妻である。
生理的な嫌悪感も拭えない。

問われた趙衰の言は、重耳の心に染みた。
重耳は決意し、懐贏を娶ることで任好を喜ばせ、重耳の帰国に対する秦の後押しは揺るぎのないものとなった。

趙衰は至極当たり前の事を説いている。
が、果たして我々はそのように生きているだろうか。
施す前に、施しを求めていないだろうか。
忘れたくないものである。

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