【宮城谷昌光 沙中の回廊】生きかたによって、その不公平さをしのぐことができる
人は生まれたとき、公平さにいない。
身分の上下があり、貧富の差がある。
しかし生きかたによって、その不公平さをしのぐことができる。
身分の上下があり、貧富の差がある。
しかし生きかたによって、その不公平さをしのぐことができる。
家宰である筲への士会の言。
公子黒臀が君主の席に即いた。成公である。
成公は公族の官のない不都合を宣べ、趙盾が官の新設にとりかかった。
卿の嫡子を公族の官に任命して、田土を与えることになった。
趙盾は嫡子の他、異母弟である趙括も公族の官に任命して欲しいと願い出、
代わりに自分が卿の座を退いた。
正卿の座が空き、士会の席次も上昇した。
士会の家は喜びに満ちた。
貴臣となっていた弗は現在の家宰・筲をつかまえ、昔話をして喜んでいたが、
筲は浮かぬ顔の士会に気づくと、人目につかぬところで憂色の主に問うた。
喪に服すのをやめ、成公は旅を催すという。
君と国に関わる運気が、武事に穢されることを憂いていた。
運気とはどうにもならないものなのかと筲が問うた時、
士会は文公を引き合いに出して答えた。
すなわち文公は運気に恵まれず、北辺の邑に追いやられ、更に諸国を流れに流れ、
ようやく君主の座に即いた。
幸福から最も遠いところにいた文公は、不遇を耐え、一歩一歩幸福へと近づいた。
生きかたによって運気を変えた実例である。
生まれの公平さが保障された時代などなく、いつの世もそれは変わらない。
だとするなら、その不公平さを嘆くのではなく、
せめてその不公平さは生き方によって変えることが出来るのだという、
その気づきぐらいは広く世に広めたいものである。
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