夜の不定期連続ドラマ　「姫反」　１６

第十六夜　「喫煙者の詩」
もうちょっといろいろやっとけば良かった。
もう「デビュー」する機会なんてない。
転機は最低２回ある。
一つは中学校から高校に上がる時。
そしてもう一つは高校から大学に上がる時。
過去の自分との決別。
いつも隠している自分と、表に立っている自分との交代。
いじめらっれ子からの脱出。
ネガティブからポジティブへの変身。
なんだって良いんだ。
高校上がった途端に、
大学上がった途端に、
突然調子づく奴って居るだろう？
それが「デビュー」ってことだ。
まぁ、別にそういう意味だったら俺は「デビュー」する必要はなかった。
する必要はなかったんだけども・・・。
ウォーズマンはギターフリークだった。
腰履きはギターだけじゃなく、ベースもイケるらしかった。
あぁ、ドラムをやっておけばよかった。
しかし俺は楽器とは無縁である。
小学校のピアニカで挫折した。
発表会の日は、中居クンのように弾いているフリをしていた。
リコーダーもだめだった。
ドとレとミとファとソとラとシとドの音が～出ない♪
発表会の日は、中居クンのように吹いているフリをしていた。
しかし、俺がドラムやったら誰がボーカルを？
楽器がだめだったので、中学の音楽のテストはいつも歌でやり過ごした。
でも４は常に取っていた。
キーを変更しなくても、「木綿のハンカチーフ」位なら余裕で歌える。
未だに喉仏が発達しない。
永久にボーイソプラノ。
俺で良いんじゃないか？
いや、俺が良いんじゃないかっ？
・・・ドラムはエリカに頑張ってもらう。
メンバー全員が喫煙者ということで、バンド名は
「cigarsong　(シガーソン）」
っていう感じでどうだろうか？
どういうバンド？
きっと腰履きはスカが良いと言うだろう。
エリカはゴーイングアンダーグラウンドと言うだろうか。
俺は出来ればしっとりと歌いたい。
そしてウォーズマンは大勢に流される。
解散の理由を教えてください。
「う～ん、音楽性の違い？」
と、いうわけで「cigarsong」脳内結成、
そして脳内解散。
もう「デビュー」なんて出来ない。
続きます。