夜の不定期連続ドラマ 「姫反」 17
第十七夜 「桃園の契り」
「先輩お腹空きました~。」
「そうかぁ、じゃあ焼き鳥食いにいくかぁ。」
三人で寒空を自転車を漕いで行く。
“一歩”先輩が連れて行ってくれた『松前』は気まぐれな店だ。
生憎その日は休んでいた。
「どうします?」
「どうすっかな~」
来た道を戻りながら、すぐそばに屋台のラーメン屋を発見。
「ここもまぁまぁうまいから、今日はここにするべ。」
「はーい。」
「ここは塩が旨いんだよ。」
というので、“一歩”さん、ウォーズマン、そして俺の三人は、
揃って塩ラーメンを頼んだ。
一口スープを口に含んで、瞬間に、
「・・・うまい。」
ちょっと衝撃的だった。
ウォーズマンも言葉を失っている様子。
コレがまぁまぁというなら、“一歩”さんが旨いという店は
どれほど旨いのか?
黙々とラーメンをすする三人。
殆ど会話は無かった。
「ご馳走様で~す。」
「今日は残念だったな。次こそは焼き鳥だな。」
一ヶ月ほど経って、同じメンバーは今度こそ焼き鳥を、という気持ちだった。
店が開いている。
俺は皮やらつくねやらを注文した。
店先に食べるスペースがある。
焼き鳥屋だが、飲酒は禁止なんだそうだ。
以前、酒を飲んだ客がトラブルを起こしたらしい。
俺達は、炭酸飲料を飲みながら焼き鳥を食った。
「この集まり、いいですね。」
「だな。定期的に来るか?」
「そうですね。クラブ活動みたいですね。」
「アハハ、焼き鳥部?」
深夜では数取団がやっていた頃だ。
「焼鳥団が良いんじゃないですか?」
と提案してみる。
「いいねぇ~、焼鳥団!」
「じゃあ、“一歩”さん、団長をお願いします!」
「うむ、ありがたく拝命する!」
そしてウォーズマンが副団長、俺が団長補佐に就任する。
別に補佐することなんて何も無いけど、
勝手に幹部になることが無性に面白かった。
「よぅし、ご両人、杯をもてぃ!」
「はっ!」
炭酸飲料を掲げる三人。
「生まれた時は違えど、死する時は皆一緒ぞ!」
「うぉ~ッ!」
無駄に義兄弟になる。
時は平成。
この酒宴(炭酸飲料)は後に「桃園の契り」と呼ばれた。
こうして結成された焼鳥団。
クリーンな活動を志した焼鳥団に、次回風雲急を告げる展開が・・・!
次回「職権濫用」
お楽しみに!
続きます。
2008/02/07 | 創作
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