夜の不定期連続ドラマ　「姫反」　１８

第十八夜　「職権濫用」
桃園の契りから約二ヶ月後。
弘前大学弓道部にも新たなメンバーが加わり、俺は先輩とか言われるように
なっていた。
クソ寒い夜の弘前公園で、花見とは名ばかりの酒宴が催された。
桜を愛でるより、皆が酒を愛でていた。
我々義兄弟は相談の上、焼鳥団にも新たなメンバーを勧誘することにした。
俺は趙雲的な男前を勧誘しようと提案したが、
兄者は女子（にょご、と読め）を所望された。
張飛（ウォーズマン）に勧誘させるのは酷というものなので、
俺は兄者と時折密談を交わしつつ、いろんな島（何人か集まって飲んでいる
場所）を徘徊して、様子を探った。
兄者はまぁ、その、なんだ、ちょっと露骨に勧誘するところが
なきにしもあらずというか、そういうところがなくもないこともない
感じだったので、俺はやっぱり男子も勧誘しようと説得した。
あぁ、意を決して書こうと思いましたが、やっぱり無理です。
女子勧誘に至る経緯は、先輩という立場を利用した体のいい飲み会への
誘いという側面を、直接的には伝えず、かといって伝えないわけでもなく、
そこはかとなく匂わすといった、非常に危ういバランスの代物
だったとだけ書いておきましょう。
詳細は書けません。
それはまさに諸葛亮と司馬イの策略のぶつけ合いというか、
腹の探り合いに、多少の下心の混じるようなものという感じです。
結論をいうと、焼鳥団に男子１、女子２の新たなメンバーが加わった。
新メンバーを含め、その後毎年増えていったメンバー達が、
焼鳥団にどんな感想を抱いていたとしても、もはや時効である。
時効にしてください、お願いですから。
職権が濫用されました、というお話。（森本レオ）
焼鳥団のことは続くかもしんないし、続かないかもしんない。
姫反は、
続きます。