【宮城谷昌光 重耳】時の力ほど恐ろしく、かつ、たのもしいものはない

時の力ほど恐ろしく、かつ、たのもしいものはない。
どうしても動かぬ相手を、きれいに人外へ押し流してくれたのである。


「どうしても動かぬ相手」とは周の桓王を指す。
その桓王が崩御した。

晋の統一のため、曲沃の君主・称は主家である翼を攻め、
勝利を得るも、翼人は新たな君主を立て、周王室に援助を泣訴する。
桓王は称のやり方を嫌い、虢に命じて曲沃を攻めさせた。
この頃の虢軍は中華最強で、曲沃を攻め立てた後、
翼の新たな君主を周王に引きあわせ、周王はこの君主を正当な後継者と認めた。

翼が新しいを君主を次々と立てるのであれば、
曲沃としてはその君主を次々と殺していくだけであるが、
周王の威徳により、その度に虢軍を動かされては堪らない。
称は翼を無視する形で曲沃の勢力拡大に努めた。

桓王崩御の報を受け、称は王の側近に取り入る機会は今をおいてないと判断し、
周王の周辺工作を始める。
結論を言えば、この後、称は長い年月を耐えに耐え、その生涯を終える前に晋の統一を成し遂げるのである。

目の前の仕事に、あるいは問題に全力で挑んでも、現状ではどうにもならないこともある。
また心に大きな傷跡を残す悲哀、あるいは憤怒に染まった出来事がおこることもある。
時は、それらを容易く解決する力を持っている。
ただしそれにはやはりそれ相応の時間が必要にもなる。

心に刻んでおきたいのは、時間とはそのような大きな力を持っているということ自体であり、
問題や事柄の起きた瞬間の即効薬には成り得ないが、いずれその解決を行なってくれるということである。
そのことをよくよく覚えておきさえすれば、瞬間瞬間も少しは前向きになれるのではないだろうか。

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