【宮城谷昌光 奇貨居くべし】誠実さに権力がそえられると、とたんに人はそねみ、陰謀であるとさえいう

そのまれにみる誠実さに権力がそえられると、とたんに人はそねみ、陰謀であるとさえいう。
しょせん小人とはそういうものであろう。


子楚を奉じた呂不韋が丞相となった。
その後呂不韋は参政の席から遠くにいる麃公に将器を見出し、交誼を求めた。
麃公は周囲が発する呂不韋の悪評を聴き、会ったことも無い呂不韋に対して
密かに嫌悪感を抱いていたが、突然来訪した新丞相と会談するいなや、その嫌悪感を氷解させた。

趙へ人質として出され、太子の座に最も遠い公子であった子楚を救った呂不韋であったが、
その呂不韋が丞相となってから、人々は王室を乗っ取る陰謀家であるとささやきあった。
しかし本当に陰謀家であるならば、他の有望視されている公子を担げばよく、
わざわざ公子になる可能性がほとんどない子楚を盛り立てずとも良かったはずである。

呂不韋が子楚を救ったのは黄金の気を感じたのが端緒ではあるものの、
そこには確かに子楚に対する誠実さがあった。

権力がある者にはとかく悪評が立ちやすいものであるが、
その本質を見極めず、妬み嫉みのみささやくのは軽忽である。
内実を知ろうともせず、上辺だけの批判を繰り返す者も多い。
我々はそのような者を反面教師とし、身を慎みたい。

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