【宮城谷昌光 孟夏の太陽】本当に恩返しできるのは、賢者だけである

よく恩返しというが、本当に恩返しできるのは、賢者だけである。
愚者に恩返しができるはずはない


陽虎に対する趙鞅の言。

魯国の最高実力者であった季孫氏の家宰であった陽虎は、
いつしか主人である季孫氏を脅迫して思いのままに操り、
さらには国政にも参与して君主の魯君までも脅かして、魯国の影の君主となった。

季孫氏は同じように陽虎に迫害された他氏と結託し、陽虎を攻めた。
陽虎は敗れ、斉、宋、晋とのがれて趙家の重臣となった。

この大悪人とも言うべき陽虎を趙鞅は手懐けた。
並の度量ではない。

ある時陽虎は、もう人を推挙することはないと趙鞅に語った。
陽虎が魯国で推挙し、取り立ててやった者どもはかつての恩を忘れ、
陽虎が季孫氏に攻められた際には自分を迫害する方へまわったからだという。

趙鞅は愚者を推挙せず、今後は賢者を選んで推挙せよと語った。

陽虎の経歴を考えれば、推挙された者達の行動も一概に愚者の行いとは言えまい。
なにせ一国を乗っとらんばかりの陽虎の所業である。
しかし、そのことを踏まえても、彼らは愚者だったと言える。
なぜなら陽虎の人となりを見極められず、目の前の推挙に喜んだからである。

愚者とて人であるから、恩義を意気に感じる、報恩の為に働かんとはするだろう。
ただし、思いとは裏腹に、はからずも仇で返すこともある。
故に愚者なのだが。
それでもなお、努めたい。
愚者にも愚者なりの志がある。

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